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日記、東方SS、イラストとか書く/描く。 写真とかもね! 基本東方の話題。 下ネタも多いのですよ。
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某スレ安価SSお題「天子以外の生物がいない」
某スレにて安価SSを書いたのでペタリ
「総領娘様!いい加減になさってください!」
青空と木くらいしか生えていないのどかな天界に似合わない永江衣玖の怒声が空気を揺らした。
「なによ!良いじゃない外で遊んだって、こんなところに居たってちっとも楽しくないんだもん!」
総領娘様と呼ばれる娘は比那名居天子、天界を統べる統領の娘なのだがいかんせん我が強く皆が手を焼いている。
ついこの間起こした異変で統領から大目玉を食らい、外出禁止を食らっていた。
が、暇が過ぎて異変を起こすような娘がそうやすやすと従うわけが無い。今も窓から脱走を試みたところを
お目付け役である衣玖に捕まり説教を食らっている訳である。
「統領娘様は良いですよ、問題を起こしてもこうやって外出禁止だけで済むんですから・・・ですが私
の事も考えてください!私は貴女のお目付け役なんです!貴女が何かくだらない問題を起こしたら、
全部私に責任が来るんです!たまには人のことも考えてみてはどうですか!?」
今まで相当溜まっていたものがあったのだろう、衣玖はここまで言った後にしまった、という顔をした。
恐る恐る天子の顔を見ると、顔を真っ赤にして目に涙を浮かべてブルブルと震えていた。衣玖は青くなった。
「・・・・・・・・・衣・・・の・・・・・・」
「な、なんでしょうか?」
「衣玖の馬鹿!馬鹿馬鹿馬鹿!もう知らない衣玖なんていなくなっちゃえ!!みんな消えちゃえ!!」
そうまくし立てると天子は襖を勢い良く閉めて自分の寝室へ行った、衣玖はどうしようと考えていると、
天子の寝室から大声が聞こえた。
「布団がどこにあるか分からない!今だけ居なくならないで!」衣玖はずっこけた。

「ふぁ・・・・・・今何時よ・・・」
天子は布団からのそりと起き上がると枕元に置いてあった時計を見た。桃の形を模した時計は午後2時をさしていた。
「2時・・・私何時間寝たんだろ・・・」
天子は半開きの目で天井をボーッと見ていると、急に不貞寝する前の事を思い出した。天子は「むきー!」と
声を上げて丸めた布団をポコスコ叩いた後急に虚しくなって寝転がった。
「あそこまで言うつもりは無かったんだけどなぁ・・・いや!あれは衣玖も悪い!あそこまで言う必要は無かった!」
「・・・でも、衣玖がどうしてもって言うんなら仲直りしても・・・いやいや!絶対今後一切衣玖には頼らない!」
布団の上で一人ウンウンと頷いた。
「・・・ん、トイレ・・・」
寝汗をかいたパジャマで手を前に突き出しフラフラとトイレを目指す姿はゾンビのように見えるが、こんなゾンビなら
バイオハザートは馬鹿売れするか大赤字だろうなあと一人想像想像しながら用を足し、ウォッシュレットをオンに
しながらふとおかしなことに気づいた。
統領の娘という事だけあって天子は大きな屋敷に住んでおり、使用人も使用人で大大将棋させる程の人数が
居るのだが、どういうことか一人ともすれ違わなかった。料理室にも誰も人が居なかった。
「んー・・・・・・・・・・・・ふぁっ」
ウォッシュレットの当たり所が悪かったのか、変な声が出た。あわてて消し、水を流す。
「とにかくこれは・・・・・・脱出のチャンスね!」
学習という言葉などとうに忘れた天子はその場でパジャマを脱ぎ捨て、両手を広げて生まれたままの姿
で廊下を走りぬけ、自室にたどりつきいつもの普段着に着替え、帽子をかぶる。鏡の前でウィンクも忘れない。
玄関まで歩いていたが、自分は飛べるということを思い出し中庭から外へ飛び立った。
「先ずは萃香のところにでもいこーっと」
出っ張りが少ない身体の為か、空気の抵抗もあまり受けずにスイスイと空を飛ぶ。
曲芸飛行に挑戦して木に頭を強打しそうになりつつも、いつも萃香が酒の呑んでいる場所にたどり着く。
「萃香ー?萃香ー、遊びにきたよー?萃香ー?・・・おかしいなぁ、地上に居るのかな」
いつも萃香が茣蓙を敷いて寝転んでいる場所に来たはいいが萃香が居た痕跡すらない、茣蓙も無い。
「むー・・・・・・・・・まあいいや、神社に行って巫女でもからかおっと!」
言いようのない不自然さを感じつつも、雲をすり抜けて妖怪の山へ下り立った。
山の木々を縫うように移動している最中、不審者が山に入った場合は天狗が出てくると衣玖が言っていた
のを思い出し警戒するが、そんな事はまったく無かった。それどこか妖怪や動物すら居なかった。
「なんだー衣玖の奴、人を不安にさせて!」
「それにしても動物の気配一つしないわね・・・早く神社に行こっと」
妖怪がうごめく山も不気味たが、気配一つしない山はもっと不気味だ。
天子は空を飛ぶ速度を速め、神社へと急いだ。

「霊夢ー?私よ、天界の麗しき天子様が遊びに来たよー」
冗談めかして言ってみたが、返事が無い、ただのしかばねのようだ・・・いや、本当に死んでるのでは?
自分の妄想で不安になり、生存を確認しようと玄関の引き戸を開けた。靴はあるので、家には居るらしい。
「霊夢ー、入るよー?」
やはり返事がない、炬燵で寝ているのか?と思い居間のほうへ向かってみた。
炬燵はあったが、霊夢は居ない。とりあえず炬燵に足を突っ込んで置いてあった煎餅を齧る。
「安物ね・・・生活大変なのかしら、こんどお饅頭でもあげようかな」
すっごい笑顔で喜びそうだなぁ・・・と霊夢の顔を想像して笑みがこぼれるが、その霊夢が居ないことを思い出す。
それから天子は家中くまなく探したが、どこにも霊夢を見つけることが出来なかった。
「もういい、別な人の家に行くもん!」

天子は神社を飛び出し、幻想郷中の知り合いの家を探し回った。しかしどの家ももぬけの空だった。
それどころは飲み物を買おうと人里にも行ったのだが、人里にも人は一人も居なかった。
夕焼の空の下、天子は一人湖で体育座りしていた。いつもなら綺麗な夕日が湖に沈んでいくのも見て
綺麗だと喜んでいただろうが、今の天子にそんな余裕は無かった。
「なんで皆居ないんだろ・・・もしかして私がみんな消えちゃえなんて言ったから・・・?」
ポツリ、ポツリと雨が降り出した、最初は弱い雨だったが、次第に強い雨になった。
妖精に凍らされども必死に生きている蛙たちも大合唱も、今は聞こえない。
「・・・・・・・・・・い」
「・・・・・・・・・ごめんなさい・・・」
水が凍りを溶かすように、砂糖が紅茶の中で溶けるように。ジワリジワリと広がった後悔の思いは、
天子の感情のダムを決壊させた。
「ごめんなさい!!」
「我がままいってごめんなさい!!謝るから!!人のことも考えるから!!」
ザーザー降りにあった雨の音を掻き消すように、天子は大声で泣きながら叫んだ。
「だから、衣玖を返してよぉぉぉ!!グスッ、い、衣玖を返してぇぇ・・・」
「うっ・・・ううっ・・・衣玖ぅ・・・衣玖ぅぅ・・・」

「はい、衣玖は此処におります」
「ふぇ・・・」
居なかったはずの衣玖が顔を覗きこんでいた。
「あ・・・あえ・・・?」
呂律が回らず、睫毛が濡れている。辺りを見回すと自分はパジャマ姿で布団の中に入っていた。
そして、衣玖が居た。天子は安堵感でブワァと涙を噴出し、衣玖に抱きついた。
「衣玖ぅぅぅぅぅぅ!!怖かったよぉぉぉ!!」
「きゃぁ!、ど、どうなさったのです統領娘様、悪い夢でも見なさったのですか?」
「衣玖ぅぅぅぅぅぅぅぅ!衣玖ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!良かったよぉぉぉぉぉ!!」
「誤解を招きますので大声で私の名前を叫ばないでください・・・よしよし」
衣玖は天子が泣き止むまでに頭を撫でた。暫くして落ち着いた天子は話始めた。
「あのね、あのね、夢を見たの・・・天界にもね、神社にも、人が居なかったの・・・幻想郷から私以外の
生き物が居なくなっちゃってね、それでね、私・・・私ぃぃぃ」
「落ち着いてください統領娘様、私はどこにも行きません」
「衣玖ぅ、ごめんね、消えちゃえなんて言ってごめんね」
「私こそ言いすぎてしまいました、統領娘様。許していただけますか?」
「いいの、いいのぉ・・・」
優しい笑みを浮かべて衣玖は天子を抱きしめた、それは母親が娘にするような穏やかさがあった。
「さ、顔を洗いましょう頭領娘様、お綺麗な顔が台無しですよ」
「うん、・・・・・・い、衣玖!あのね」
「はい?」
「ふ、二人のときは・・・・・・天子って呼んで欲しいな」
衣玖は一瞬ドキリとした顔をしたが、嬉しくてたまらないという笑顔を浮かべていった。
「わかりました・・・さぁ、顔を洗いにいきましょう、天子」
「・・・うん!衣玖!」






~おFin~
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